医療問題と民間の医学

血液サラサラは無意味

テレビ番組での血液サラサラ検査は、実は根拠が不十分で無意味です。水を飲んだだけで、血のドロドロ度合いは変化します。脳梗塞や心筋梗塞なども、血管側に問題がある病気で、血液の粘度は直接関係無いそうです。

健康をテーマにしたテレビ番組では、血液がサラサラかどうかをチェックするといった企画が頻繁に見受けられます。確かに血液がドロドロしていると、血圧が高くなるとか、動脈硬化が関係している、などと思ってしまいがちです。血管内が詰まる、脳梗塞とか心筋梗塞を引き起こす・・・なんてイメージを持つ人も居るでしょう。

しかし、実は血液のサラサラ度が健康に影響を及ぼすという臨床データは確認されていないというのです。つまり、血液がサラサラかどうかは、健康状態を調べる上では、根拠のない無意味なデータなのです。

それが証拠に、病院の検査や健康診断・人間ドックなどで、自身の血液の粘着性を検査した経験のある人はほとんどいないでしょう(※一応、血中のヘモグロビン量が、サラサラ血の判断の目安といえます)。

しかも、調べる方法にも問題があります。「ためしてガッテン」や「発掘!あるある大事典」などのテレビ番組での血液サラサラ度チェックは、採血した血を顕微鏡で目視し、赤血球の見た目の量を判断するケースが大半です。赤血球が適度に分散して見えると血液がサラサラ、密集して重なっているとドロドロといった具合です。しかし、赤血球の見た目の量は、少しの原因で簡単に変動してしまうのです。

例えば、採血前に水を飲んだだけで、赤血球は分散してサラサラに見えるようになります。ですから、水分不足になりがちな夏場の血液は、冬場よりもドロドロして見えるのです。そして、血液は採取して空気に触れるとすぐに凝固が始まります。つまり、採血から計測までの時間がほんの数分違うだけで、血液はサラサラにもドロドロにも見えるという事です。また、血液状態を顕微鏡で確認する際、プレパラートにカバーガラスを強く押し付けるだけで、赤血球は分散してしまうそうです。

動脈硬化と血液の粘度は関係ない

ちなみに、脳梗塞や心筋梗塞など血管が詰まって重大な障害を起こす大病がありますが、これらの原因はあくまで動脈硬化など「血管」の方にあります。仮に血がドロドロだったとしても、それだけの理由で血管が詰まって流れなくなる、という事は無いそうです。まとめると・・・

血液サラサラが無意味な理由
・水を飲むなど、検査状況によってサラサラ度は激しく変化する
・血管が詰まるほど血がドロドロになったりはしない
・そもそも血液粘度と健康との因果関係を示す臨床データは無い(動脈硬化などとも直接は関係ない)

このように、血液のサラサラ度合いとは極めて適当なものであり、そこから健康状態を正確に判断しようとしても無意味なのです。テレビではインパクトが重要ですから、血液がドロドロして、いかにも不健康そうであるという映像が欲しいのでしょう。

テレビ番組の医学情報には嘘が多い

医学的な根拠が証明されていない事を、あたかも真実であるかのように放送して、視聴者の不安を煽る手法は、極めて悪質ですね。あるある大事典が番組中止になったのは、こうした根拠の無い嘘の情報を垂れ流し続けていたためであり、当然の報いでしょう。

ちなみに2007年には、血液がサラサラになると謳ったブレスレットを高額で販売していた業者が、詐欺容疑で逮捕されたという事件もありました。被害者は約8200人で、被害総額は24億5000万円にも上ります。このブレスレットは詐欺でしたが、仮に本当に血液をサラサラにする効果があったとしても、健康にはほぼ無意味だったのです。

こうした事件が起こった背景には、テレビによって誤った情報が拡散された事が影響していると思われます。テレビで放送された情報を全て鵜呑みにする事のないよう、真偽は常にインターネットでエビデンス(証拠・根拠となるデータ)を確認する癖を付けるべきでしょうね。

ネットの世界には、利権やしがらみだらけのテレビと違い、中立な情報や、嘘偽りを内部告発するような情報が沢山あります。マスメディアの嘘を見抜くには、ネットで調べるのが一番です。確かにネット上にも、信頼できない無意味な情報は溢れていますが、嘘と真実を見分ける「メディアリテラシー」の能力は、様々な切り口で書かれている情報に沢山触れていれば、自然と身に付きます。

 

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