医療問題と民間の医学

ジェネリックが普及しても医療費問題は解決しない

価格の安いジェネリック薬の普及促進は、日本政府(厚生労働省)が医療費の増大を抑制するための切り札と言われています。しかし、医療費に占める薬価の割合は20%程度なので、それだけでは根本的な解決は出来ないのです。

近年の日本は少子高齢化が続いており、それに伴って、医療費が増大しているという問題が起こっています。以下のグラフは、平成に入ってからの、国民医療費の推移をグラフ化したものです。

日本の医療費の推移グラフ

1989年(平成元年)に約20兆円だった日本の医療費はほぼ毎年増え続け、2012年には約39兆円にも上っています。つまり、約20年の間に、医療費はほぼ倍にまで膨れ上がった事になります。政府の一般会計税収が50兆円前後しか無いことと比べれば、如何に巨額なのかが分かります。

原因は主に少子高齢化問題であり、今後も老人の数が増え続ける事は確実なので、根本的な解決策がなければ、将来、日本の医療制度は間違いなく崩壊するのです。

こうした医療費問題を解決すべく、厚生労働省は医療費削減を目的として、ジェネリック薬への移行を促しています。ジェネリック薬とは、先発薬の特許が切れた後に他のメーカーから発売される、ほぼ同種の成分で構成された薬の事です。

日本製薬工業協会によると、薬の開発には、10年以上の歳月と、約200億円もの研究開発費が必要とされています。ですが、ジェネリック薬はこうした研究開発費が大幅に削減出来るため、値段も安く設定されているのです。一般的な薬の場合、ジェネリック薬に切り替えれば3〜5割程度値段が安くなるのです。

2011年時点の日本のジェネリック薬の普及率は、数量ベースで23%、金額ベースでは9%と、まだまだ低いのが実状です。この普及率は、アメリカ(80%以上)やドイツ、イギリス(70%以上)などと比較してもかなり低い数字です(世界のジェネリック薬普及率)。こうした普及率の悪さを解決するために、最近では政府のみならず、東和薬品や沢井製薬といったジェネリックの製薬メーカーが、ジェネリックへの移行を促すテレビCMを放映するようになっています。

薬価は医療費全体の20%程度なので、焼け石に水

ですが、たとえ今後ジェネリック薬が普及したとしても、実は日本の医療費問題は解決しないのです。何故ならば、医療費全体に占める薬剤費(医療用医薬品)の割合は、4分の1にも満たないからです。以下のグラフは政府が発表した、日本の医薬品売上高の状況です。

医薬品売上高の内訳

これによると、全ての医薬品の売上合計が9.9兆円、そのうち84%が医療用医薬品なので、金額は約8兆9000億円です。前述の通り、平成24年の医療費は約39兆円ですので、医療費に占める医薬品の割合は約22%しか無いことになります。

仮に、日本でのジェネリック普及率が100%になり、薬価が半分になったとしても、削減出来る医療費はおよそ4兆円に過ぎません。これは極端な例であり、実際には半分置き換えられれば良い方でしょう。つまり現実的には、ジェネリックへの置き換えだけでは、2兆円ほどの医療コスト削減が精一杯なのです。40兆円近くもある総医療費の前では、焼け石に水なのです。

確かに、医療費を減らしていく事は重要であり、数兆円の削減が見込めるジェネリック薬の普及活動は推し進めていくべきです。とはいえ、これは医療費全体から見ればわずかな削減でしかなく、それだけで日本の医療費問題は解決しないのです。

 

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